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夢幻家族 嶋岡晨
そのやわらかいからだはまるで
あふりかの奥地の沼に住む大なめくじで
わたしにもたれかかりからみつきかぶりつくぐあいは
わたしをついにはどろどろにしてすすりこもうというのである
しゃぶしゃぶと舌でなめまわすしぐさは
まるで家畜の心配をする牧場主のようで
その情愛のかたことは
屠殺の日にむかってげんしゅくにすすむとりっくなのだ
こうしてこどものあまったるい吐息のために
わたしはちちである自分をしびれさせ
うなだれて生の草原をあゆむのである
こどものははであるわたしの女は
にくしんのにおやかなにくしみをこめて
ただれる肉のひだをひらき
すえた花ばなをわたしにささげる
ああ あるきつかれたわたしにむかい
こどものこどものそのまたこどものたくさんのたくさんのこどもらの
まるまるとした手がおしよせてきて
わた菓子のような霧をつかもうとするが
わたしの目からは墨汁がしたたり
ぽたぽたと家族の風景におちてにじむのだ かつての日
血のついた脱脂綿のうかぶ空のした
めたふぃじっくの旅人が
骨の笛ふきながらとおっていった
そのおなじさびしい石ころみちを
夢幻家族をひきつれて
わたしはだまってあるいていく
すべての死んだけものたちがよみがえり
赤い海にむかって吠えはじめる
あたらしい故郷のはてへ。